タップが開く社会と未来 おどるなつこさん

おどるなつこさんによる目を奪われるタップダンスの披露の後、「タップダンスを目の前で見たことがある人は少ないんじゃないかな。足の指先と踵、足の裏全体、の三種類の音を中心に表現される芸術表現がタップダンスなんですよ…」とはじまった今回の木曜スペシャル「タップが開く社会と未来」。僕は、のっけからコツンコツンと響く、そのパーカッシブな音に吸い込まれていった。ダンスパフォーマンスだけでなく人柄の溢れるその講演にも感動したので、いつにないテイストで今日の内容をまとめながら久しぶりの記事にする。
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30年ほど前、クラシックバレエを諦めたころに偶然ダンススクールで出会ったのがこのダンスだったという。今では「大好き」と即答できるようになったけれど、数年前に記憶がなくなってしまうぐらい落ち込んだ時期に診察を受ける中で、同じような事がこれまでも何度もあった事を思い出し、お医者様から「あなたは昔から鬱病と一緒に生きてきたんですよ」と言われて、自分は若い頃不安な中で、でも「好きなこと」に支えられて生きてきたんだろうなぁと気づいたとのこと。そういえば高校生の頃の記憶も薄れているけれど、風変わりな物理の先生の授業だけが記憶に残っていて、その時のことは今の生活の中でも時折姿を見せ、心の奥底で役に立っているらしい。
だから、NPO法人「あしおとでつながろうプロジェクト」では、参加者が「好き」とか「やりたい」といったことを実現できるようにフォローアップする活動していて、そこでは色々な障がいがあったりしてチャンスを与えられて来なかった人たちに何かしらきっかけを与えるとともに、踊りを通じたコミュニケーションを取る中で自分自身が様々なことに気付かされているとのこと。
コロナの頃は「不要不急」の活動を停止されてきたので、人を楽しませるアーティストとしては少し寂しかったが、コロナが明けてからは少しずつ小さなライブをできるようになってきて、今も、ちょっとずつイベントを行えるようになったそう。
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「何かまだ「好き」といえる物が見つかっていない人も、ひとまず日々、感謝をしながら生きていったら、何か見つかるんじゃないかなと思います」という言葉や、「タップダンサーなんてまだまだ数が少ないでしょ。だから昔はもっと少なくて… 変な人だと思われていただろうけど、それでも自分のとても好きな事を30年間やり続けた結果、自分の紹介記事を書いてくれた新聞には「未来人」と書かれたのは本当に嬉しかった。」という言葉には、社会のありように左右されないゆらぎない「好き」を持った人の信念や幸せさを感じました。
講演の中で、「今、自分はこれが好きだな!と思っていることがある人はいるかな」という質問に元気よく手を挙げる生徒が結構たくさんいたのは、驚いたし、嬉しかったし、ちょっと誇らしかったなぁ。
久しぶりに最初から最後まで生徒達と一緒に参加できた木曜スペシャル… いやー、コレ、価値ありますよ。ほんとに。

その辺の靴が一瞬でタップシューズに変わってしまう!
